アンテナのブースターの役割ってなに?
ブースターはアンテナが受信した電波を増幅させ、安定して信号を受信できるようにしてくれる増幅器。
主にケーブルの配線距離や信号を複数に分けた時に起こる電波の「減衰」や「損失」といった障害を出さないために設置します。
また、電波強度の弱い弱電界地域ではテレビが映らない、ノイズが入る場合などの問題も解決できるので快適にテレビやラジオを利用するには欠かせない存在です。
現在ではブースターをセットにした工事が基本となっており、新築工事では設置が推奨されるほど重要な機器となっています。
ブースターが必要な状況を解説!
ブースターをつける理由は何となく理解してもらえたかと思うのですが、具体的にどんな時にブースターが必要か?も知っておきたいと思うので具体例を紹介します。
- テレビからの距離が遠く配線ケーブルを長くする必要がある時
- 家に複数台テレビがあり信号を分配しなければいけない時
- 弱電界地域で電波が安定して受信できない時
- 弱~中電界地域でデザインアンテナやユニコーンアンテナを設置したい時
- テレビの映りが悪く何度もノイズが入ってしまう時
- 本当は映るはずのチャンネルが映らない時
といった状況の場合はブースターの設置を検討した方が良いでしょう。
ただ無暗にブースターをつけてしまうと、逆に強度が強すぎて電波にひずみができてしまい、テレビが視聴しにくくなる可能性もあります。
「電波強度の調整は自分には難しいかも・・・」と感じる方は業者に依頼することをおすすめします。
ブースターの価格や設置相場を紹介
ブースターは「機能性・出力・視聴チャンネルの種類」によって変化し5,000~42,000円ほどと価格差がありますが、一般的には以下のようなブースターが主流となり
DXアンテナ | マスプロ | 日本アンテナ | |
---|---|---|---|
製品名 | CU38AS | UBCBW45SS | NSB42DSUE |
価格 | 7,500円~ | 10,980円~ | 9,340円~ |
大手メーカー(DXアンテナ・マスプロ・日本アンテナ)の人気ブースターだけに絞ると相場額は10,000円前後となっているので単体価格は安めです。
ただ、素人の方では設置が難しく基本的には工事業者に取付を依頼することになるので、人件費も合わせて25,000円前後用意しておいた方がいいでしょう。
実際の機能や価格に関しては出力差よりも切り替え機能などがついている機器が高額となっておりどんな場面でも柔軟に使用できるブースターの方が価格が高くなります。
目的別で必要なブースターの選び方を紹介
ブースターは大きく分けて「家庭用、共同通信用、ケーブルテレビ用」の3種類の中から、家庭用を用いて視聴したいチャンネル(UHF・BS/CS・4K8K)に対応したブースターを設置します。
その他にも「屋外用&屋内用・利得:dB(ゲイン)・定格出力(dBμV)・電圧定在波比:VSWR(インピーダンス)・雑音指数(NF)」といった細かな違いがあります。
ただ、専門的な話するよりも以下のようなシチュエーションごとに解説していった方が選び方がわかりやすいと思います。
- テレビの映りが悪い
- テレビが全く映らない
- 弱電界地域に住んでいる
- テレビの台数が増やしたい
- 綺麗な映像を楽しみたい
- ノイズを抑えたい
そのため今回は目的ごとにブースターが選びやすいように、状況に応じたおすすめのブースターを紹介していきます。
1.テレビの映りが悪い
映りが悪い適度であれば電波強度が少しだけ足りないだけのことが多いので、設置難度が低いブースターを利用しただけで改善される可能性があります。
映像が不安定・特定のチャンネルだけ映らない場合は、アンテナ端子とテレビとの間につなぐだけで利用することができる屋内ブースターがおすすめです。
2.テレビが全く映らない
テレビが全く反応しない場合は電波強度が弱いので室内設置では改善されない可能性があります。
効果を発揮しやすいのはアンテナ直下へのブースター設置となっているので、できるだけ近くに設置する必要があります。
「どのチャンネルも全く映らない」「電波が弱い地域に住んでいる」という方は電源部と増幅部が別々になっている屋外ブースターの設置がおすすめです。
屋外ブースターは業者に依頼しなければ設置は難しいですが、アンテナの近くに設置することができるだけでなく1台で家全体の電波調整が可能となります。
3.弱電界地域に住んでいる
- 中・弱電界(60~80dBuV/m)
- 弱電界(60~70dBuV/m)
- 微弱電界(50~60dBuV/m)
上記のように電波強度の弱い地域(弱電界地域)にお住まいの方は、電波を安定して受信するためにブースター使用が推奨されています。
無くても視聴できる可能性がありますが、ノイズや特定のチャンネルだけ映らないこともあるので信号を増幅できるブースターは重要です。
「利得:dB(ゲイン)」が高いほど電波強度の上げ幅が大きいので、dBの数値を目安にして選ぶことがおすすめです。
またブースターは屋内型よりも「屋外型」の方が電波強度を底上げしやすいので、テレビの映像がほとんど映らない場合は屋外型を選びましょう。
4.テレビの台数が増やしたい
電波強度が強い地域でない限りテレビの台数を増やすには分配器を使用する必要があり、1つの信号を複数に分けることになるので強度が下がってしまいます。
2つ目のアンテナとテレビの配線距離にもよりますが、3台目以上だとほぼ必須になると考えておいてください。
先ほどと同様に受信電波を増幅させる「利得:dB(ゲイン)」の高さも重要となりますが、「定格出力(dBμV)」の数値と「屋外アンテナ」かを確認しておきましょう。
「定格出力(dBμV)」とは映像出力の最大値を表す数値です。定格出力の許容範囲を超えてしまうとノイズが発生してしまうのでできるだけ大きいと融通が利きやすいです。
また業者での設置が推奨ですが、1台で建物全体の電波を調整ができる屋外アンテナであることも大切です。
5.綺麗な映像を楽しみたい
最大電圧(Vmax)と最小電圧(Vmin)の反射によるロスが少ないほど、映像を出力する際の負担がなくなるので綺麗に映し出すことができます。
「VSWR:インピーダンス(電圧定在波比)」が低いほど抵抗が少なくなり、信号伝送の効率が高くなります。
ブースターを選ぶ際はVSWRが1に近い物を選ぶとスムーズに映像データを伝送でき綺麗に映像を映し出すことができます。
6.ノイズを抑えたい
ブースターは受信した信号の質を高める物ではなく、増幅する役割なのでノイズも一緒に増幅させてしまうことになります。
ノイズが大きくなった状態で受信されてしまうと映像の乱れや雑音に大きく影響してしまうので、そのノイズを軽減してくれる機能が付いたブースターを選ぶのが重要です。
「雑音指数(NF)」はノイズの影響をどれくらい受けているかがわかる数値です。1に近ければ近いほど雑音を抑えてくれます。
「地デジの場合は3dB以下」・「BS/CSの場合は6dB以下」であれば元の品質で映像&音質でテレビが視聴できる可能性が高いのでぜひ目安としてください。
ブースターが故障?と思ったら3つの項目をチェック
1.雨風によって損傷している
屋外にブースターを取り付けている場合は雨風によりアンテナの破損や経年劣化によりブースター自体が壊れてしまっている可能性があります。
長年のご使用による劣化は避けることができないため、10年以上使用していて急にテレビの映りが悪くなってきたと感じたら交換も視野に入れておきましょう。
2.電波が強すぎる
ブースターは電波が弱い時に適正な電波レベルに調整するために使用する電波の増幅器なので、電波が強すぎても正常に機能しません。
設置の際には電波測定をし、電波レベルを合わせなければいけないので測定器を使用して適切な値に調整する必要があります。
3.異常発振による電波阻害
異常発振とはブースターにより異常に増幅した電波が、テレビ視聴に必要な電波を妨害してしまいテレビの映りが悪くなってしまう状態のことです。
この原因として挙げられるのは「出力と入力ケーブルをまとめる」・「ブースターとアンテナの距離が近すぎる」ことで良く起こってしまいます。
異常発振の場合は専門家の知識や道具も必要になってくるので、素人での修理は難しいかもしれません。
ブースターの寿命について解説
ブースターの寿命はおよそ10~15年ほどとされていますが、屋外用と室内用では屋外用の方が劣化しやすくなります。
屋外だと雨風の影響だけでなく紫外線などでも劣化が加速してしまうので、その分寿命は短いです。
劣化が進むとブースターが正常に機能しなくなりテレビの映りが悪くなったり、ノイズなどの問題も起こります。
そのため、壊れる前の事前交換をお考えの方は10年が過ぎたタイミングで検討するといいでしょう。
アンテナブースターについてよくある質問
アンテナブースターがどんな時に必要か?その役割についての疑問を補足して解説していこうと思います。
ブースターを設置する理由は何ですか?
ブースターは受け取った電波が弱い(足りない)時に、それを増幅するための機器です。
そのため、ブースターは受信できる電波が弱い時に利用します。逆に電波が強いのに利用してしまうと許容値を超えてしまいテレビが映らなくなることもあります。
ブースターを使うとテレビの映りが良くなる?
必ず良くなるとは限りません。ただ元々電波が悪く映りが悪い場合はブースターを設置することでテレビ映りが改善されることが多いです。